さらば「マザコン夫」

11月に入り、社会保険労務士の合格発表の2時間前に、私は役所に
行き離婚届をもらった。それからホテルのスゥイートルームに直行し、
ルームサービスでシャンパンを頼んだ。
合格すれば“祝い酒”、不合格なら“やけ酒”になる。
パソコンを開き、祈るような気持ちで試験センターのホームページを
みてみる。
あった!あった!間違いない!私の番号があったのだ!
涙があふれてきた。声を出して「わんわん」泣いた。
そしてシャンパンをあけ、ひとりで乾杯をした。

今すぐ主人に離婚届をたたきつけてやりたいところだが、まだ合格証書も届いていないし、社会保険労務士として登録もしていない。
登録後は、すぐにでも独立といきたいところだが、やはり固く
社会保険労務士事務所か、会社の総務部や人事部に入って、経験を積んでから独立するべきだ、と考えた。

その夜、いつものように夕食を済ませた私は、子供たちに
「今日はママとお風呂に入ろうか」
と聞いてみた。子供たちは“おっきいママ”の顔を見てから言った。
「おっきいママと入る」。
やっぱり。そうか・・・・・・。

夜11時を回った頃、友人から電話がきた。知り合いの会社が社会保険
労務士を募集しているという話だった。彼女は私のすべてを知っている
唯一の親友。早く離婚するにも仕事先を見つけたほうがいいと言って
くれたのだ。

それからの私は早かった。まずは今持っているブランド品をリサイクル
ショップに売り、現金に換えた。ざっとその額200万
そして友人が紹介してくれた会社に就職し、1DKのマンションも借りた。
すべて環境を整えてから、その夜、主人と義母と子供たちに離婚したいと話した
「離婚?お前が資格を取ったことは認めるけど、本当に仕事ができると
思っているのか?バカな女だ。もし離婚になっても、俺は1円たりとも
慰謝料は払わないからな!」
「そうよ!子供たちは絶対に渡さないわ。私の孫よ!」

次の日、私は引越しの準備のため、荷物をまとめていた。
そこにやってきたのは子供たちだった。
「ママ!ぼくはママと一緒にいく!
今までおっきいママの言うことを聞いていたのは、怖かったからなんだ。
だってパパは、おっきいママの言うことを聞かないと、ぼくをぶつんだ!」
「わたしもいくー!」
部屋の外には、泣き崩れた義母の姿があった。
私は、子供たちを連れて、家を出た。
「さらば、マザコン夫・・・・・・」!